JJでございます。
商売を長く続けていると、
お店のすべてを決定すると言っても過言ではないほど
いかに、人財がの確保が大切だという事が
身に染みてわかります。
会社をより成長させるためには、
社長一人では限界があり、
やはり優秀な人財に左右される時期があります。
コンビニを経営しているときは、
人財の確保が切実な悩みでした。
まず、店舗の立地です。
近隣は事業所や会社・工場ばかりで、
近隣1キロ周辺の住宅は3軒。
私は、この店舗を始めるときに、
集客ばかりを考えていて、
働く人のことを考えていませんでした。
また、コンビニ本部からも集客の数しか
提案されていませんでした。
クルー募集に関しては、
「駐車場が広いので、(約23台)
遠方からもクルーさんに通勤してもらえますよ」
と当時の担当SVに言われていましたが、
当時は、オープンしたばかりで、売り上げも安定せずに
コンビニの時給の他に、通勤費を別途支給する余裕がありませんでした。
クルーさんの半数は自転車やバイクで通勤してくれていたのですが、
自家用車で通勤している方には、高騰していたガソリン代が
支給できず、本当に申し訳なかったと今でも思っています。
それでも、当店で継続して働いてくださるクルーさんを一定数確保できて
安定している時期もありました。
アルバイト情報誌には、時々募集の掲載をしていたのですが、
ある時期、募集していないときに、
当店で働きたいと電話がかかってきたので、
一応、面接をしました。
当時、25歳のフリーターの男性Kでした。
履歴書を見ると、高校を中退してから、
いろんな職種10社以上に就いていましたが、すべて短期間で退職していました。
JJ:「いろいろなご職業を経験されてるんですね。
すべて短期間で退職されてますけど、
体調がすぐれないとか、理由があるんですか。」
K:「いや、僕のポテンシャルを引き出す能力のある
上司や同僚と巡り会えなかったんです。
自分探しの途中っていうか、
やりたいことがあって、
夢の実現のために活動してます。」
JJ:「どういった夢を描いていらっしゃるんですか。」
K:「僕、ミュージシャンの卵というか、
さなぎなんです。
もうすぐ、ほんともうちょっとで、はばたくんです。」
やばいやつ、きたーーーーー!
これは、関わってはいけない方なのでは。
K:「ストリートで唄ってるんですけど、
ある芸能事務所から、声かかってて
うまくゆくと、メジャーデビューするんです。」
ふーん。
K:「それで、デビュー前に小さいハコで
ライブするんですけどお金がいるんです。
そのライブに事務所の偉い人が見に来てくれて
ライブの出来次第でデビューできるんです。」
詐欺やろ、それ。
完全にだまされてるやろ。
JJ:「そうなんですか。
コンビニでバイトしたことありますか。」
K:「はい、ちかくの緑のコンビニで。」
JJ:「じゃ、なぜそっちへ行かないんですか。
同じコンビニの方が色々とわかっててやりやすいんじゃない?」
K:「いや、Fチキ食べ飽きたんでー。
店長と性格合わなくって
それから、緑のコンビニ、客のレベル低いんで。」
はあ?
K:「あと、このごろ、Kアゲくんにはまってるんで。」
なめとんのか、こいつ。
JJ:「勤務希望時間とかありますか。」
K:「夜は、○○前で唄ってるんで、昼働きたいです。」
JJ:「今、昼勤、足りてるんですよ。
一応、オーナーと相談して
後日、連絡しますね。」
と言って、帰っていただきました。
その夜、こぐまさんとクルーさんと話し合いましたが、
うーん。ということで保留にしようということになりました。
すると翌日、Kから電話があり、
K:「昨日、面接したKですけど、
前に面接していた、デニムショップの店員に
合格したので、そちらが時給がいいし、
お洒落だし、かっこいいのでいきます。
なんで、昨日の面接パスで。」
と軽いノリの電話がかかってきました。
こちらとしても、トラブルの予感がしていた方だったので
応募者から断っていただき、ほっとしました。
それから、3日経ったある日、私が出勤すると、
昼勤のK﨑さんから、
”先日面接したKさんから、電話がありました。
店長から電話が欲しいそうです。”
との申し送りがありました。
えーっ。なんか嫌な予感する。
電話するの、いやだー!
仕方ないので、とりあえず、Kに電話をしました。
JJ:「青いコンビニのJJですけど、
お電話いただいていたようなのですが、
どういったご用件でしょうか?]
K:「あっ、店長さん、先日面接したKです。」
知ってるよ。
K:「あのー、洋服屋に就職したんですけど、
毎日、在庫の整理ばっかりやらせれてホコリがすごくて、
僕、ミュージシャンなんで、
喉、すごーく大切にしてるんですよ。
特に、高音域がでなくなると、
僕の楽曲ってアウトなんです。
なんで、今日で辞めました。」
あっ、そう。
仕事が続かない理由って。
K:「なんで、ちょっと、コンビニってカッコ悪いけど、
働こうかなって、電話したんです。
シフト空いてますか?」
もう、完全に働く気やん。
まったく雇う気ないんですけど。
JJ:「いやー、この間もお話したんですけど、
昼勤空いてないんですよ。
他の、コンビニいってみたらどうでしょうか。」
K:「えーっ、今借りてるアパートから一番、
そこが近いんですよー。」
JJ:「そういわれても。」
K:「実は、店長さんに話してませんでしたが、
実家で農業やってる父が癌なんです。
母も、心を病んで家に引きこもってるんです。
僕がデビューしてテレビにいっぱいでて、
2人を元気にしたいんです。」
絶対、嘘やろ。
JJ:「Kさん、ご実家、遠くでしたよね。
ご両親、深刻そうですけど、
実家でご病気のご両親の面倒を見なくていいんですか? 」
K:「僕の楽曲は、聴いた人に夢を与える
ポジティブな曲が多いんです。
実家にいると、暗くなって曲書けないんです。
だから、離れて暮らしてるんです。
父親とはソリが合わないし、
けど、親も、理解してくれてます。」
なんと、勝手な理論だ!
絶対に、雇わん、無理!
JJ:「一応、また、オーナーに相談してみます。」
K:「絶対に働きたいんです。
お金が、欲しいんです。
僕、スターになる一歩手前まで
来てるんです。
おねがいします。
深夜でも働きます。
時給いいんですよね。
ちょっと、ハードだけど、デビューのためなら、
深夜勤でお願いします。」
電話を切ってこぐまさんと
「なんか、おかしいことになってきたで。」
と話して、深夜の仕事をしていると、
なんと、Kが店に現れました。
K:「オーナー・店長、
僕の未来はこのコンビニにかかってるんです。
お金貯められないと、ライブ会場代払えないんです。
どうか、雇ってください。」
ちょうど、そのころ、深夜勤のベテランクルーが体調が悪く
私とこぐまさんで深夜勤をこなしていたので、
こぐま:「ちょっとだけ、ええんちゃう、きてもろたら。」
と提案してきました。
こぐま:「それなら、JJも、昼や夕夜間みれるやん。」
「ちょっと話つめよかー。」
と言ってこぐまさんがバックルームへ連れていってしまいました。
もう、ぜったいにトラブル発生率100パーセントなんですけど、
私は、責任とらないからね。
またまた、トラブルの日々がはじまります。
お話はつづきます。