こぐまです。
先日、日曜美術館で特集されて、荒木飛呂彦先生が出演されていた
国立西洋美術館で開催中の
「キュビスム展ー美の革命 ピカソ、ブラックからドローネ、シャガールへ」へ
11月に行ってきました。
「ピカソ」といえば、誰もが知っている天才画家ですが、
私は、「キュビスム」がどういうものなのか、以前は知りませんでした。
「キュビスム」とは
20世紀初頭に、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって、
それまでの西洋絵画の伝統技法であった、遠近法や陰影法による
三次元的な空間表現から脱し、モチーフを幾何学的に変化させ、構成することで、
絵画を抽象的な表現へと変化させた手法です。
見たものを、よりリアルに描く表現から
より、多角的に見てすべてを表現するといったところでしょうか。
ルネサンス以来の革命とも呼ばれている「キュビスム」は
写真技術の発達により、リアルにモチーフを残す事ができるようになったことも、
発展の要素の一つだともいわれています。
本展は
1 キュビスム以前ーその源泉
2 プリミティヴィスム
3 キュビスムの誕生ーセザンヌに導かれて
4 ブラックとピカソーザイルで結ばれた二人(1909~1914)
5 フェルナン・レジェとファン・グリス
6 サロンにおけるキュビスム
7 同時主義とオルフィスムーロベート・ドローネーとソニア・ドローネー
8 デュシャン兄弟とピュトー・グループ
9 メゾン・キュビスト
10 芸術家アトリエ「ラ・リュッシュ」
11 東欧から来たパリの芸術家たち
12 立体未来主義
13 キュビスムと第一次世界大戦
14 キュビスム以降
の14のボリュームのある内容で「キュビスム」の長い道のりを詳しく学べます。
平日の昼間だったこともあり、館内には
小学生から、高校生の課外授業と思われる観覧者も多く、
メモやノートを熱心に取っていました。
私の近くで、若い20代の男性2人組が
「うーん、さっぱりわからん。」
と絵画の前で首を左右に傾けながら観覧しており、
「激しく同意します!」
と心の中で叫んでいました。
写実的な絵画とまったく違い、作者が
どのような視点から、どのように見て描いてかを想像しなければなりません。
いわば、物体を細胞レベルに分解して再構築した感じです。
だいたい、予習していったのですが、想像を遥かに上回る難解さでした。
ジョルジュ・ブラック 「レスタックの高架橋」↑
まだ、解る。
ジョルジュ・ブラック「ギターを持つ女性」↑
解らなくなってきました。
パズルのような感じです。
パブロ・ピカソ「若い女性の肖像」↑
素敵な色使いだ、としか言えない自分。
ナターリア・ゴンチャローワ「帽子の婦人」↑
帽子の羽飾り(おそらく)はわかるが、婦人はどこに。
パンクロックのCDジャケットみたいです。
岡本太郎さんの作品を見た時と、同じ感覚に陥りました。
絵画を一枚一枚詳しく検索すれば、もっと深い情報も取得できるのでしょうが、
作者から絵画の情報を、直接お聞きすることは不可能であるし、
素人の一個人としては、専門家の方に叱られそうですが、
「なんとなく、いいね。」
でよいのではと思ってしまいました。
すみません。
JJは、どうだったんだろう。
「キュビスム、どうだった?」
と聞くと、
「私は、メゾンキュビストと蜂の巣に住んでみたいと思ったよ。」
えっ、それ、作品の感想じゃないよね。
ラ・リュッシュ(蜂の巣)↑
「メゾン・キュビスト」↑
私のように、ピカソを見て
「よくわからない。」
という感想も、いわば衝撃的な感想のひとつだと思います。
だって、絵画なのに、よくわからないのですから。
見る者の数だけ、絵画の解釈が膨らんでゆく「キュビスム」。
モダンアートの原点になったといわれている自由な作風。
「美の革命」にふさわしい展示でした。