JJでございます。
昨日、こぐまさんと甲子園帰りに遭遇した万引きの話をしていて
思いだしたコンビニ経営時代の事件を書きます。
その日は、初秋の土曜日でした。
私のシフトは17:00からだったので、
16:30頃に店に行くと
近くの他コンビニチェーンの店長の名刺が机に置いてあり、
防犯カメラの映像が1カメラだけアップになって静止していました。
私が、バックルームに入るのを見た、17:00上がりのスタッフが
すぐにバックルームに入ってきて
「店長、大変な事が起こりました。あとで説明します。」
と言って深刻な顔をして、またレジに戻っていきました。
私が着替えて、準備をしたころに、シフト上がりの2人が戻ってきて
「まず、店長、この場面を見てください」
と言って、12:40頃の静止画を少し巻き戻して見せました。
カウンター内の真正面から、店内を映すカメラで
店内がざっと見渡せる位置にあります。
「この白いフードをかぶった男の子です。」
白いフード付きのパーカを着た男の子が、
入店し、菓子売り場をうろうろしています。
その通路に、うちのスタッフがすばやく行き、商品を直しながら見ていますが
少年はあちこち移動して、うろうろして落ち着きません。
スタッフがカウンターに戻った瞬間、
パーカの裾から、お菓子を洋服の中に入れて
走って出てゆきました。
店頭入口の防犯カメラに移すと、
自転車に乗った黒いジャンパーにデニムジーンズをはいた
もう一人の少年が待機しており、
パーカの少年は自転車の後ろに飛び乗り
猛スピードで逃げてゆき、画面からフェードアウトしました。
「店長、すみません。油断しました。
レジが急に混んできたので、カウンターに入ったんです。
万引きに気付きませんでした。」
と落ち込んでいました。
「どうして、万引きがわかったの?」
と私が聞くと、
「13時頃にそこの緑のコンビニの店長が来店されて、
黒いジャンパーと白いパーカの男の子に万引きされたそうです。
それで、自転車で逃げた方向がうちの店だったので、
立ち寄っていないか、うちも被害にあっていないかと聞きにきました。
それで、急いで防犯カメラを確認するとやられてました。」
と泣きそうな顔をしています。
「うちの被害はお菓子だけ?」
「はい、確認しましたが、ポテトチップスのビッグサイズ1つだけです。」
しかし、わざわざ、他のコンビニチェーンの店長が訪ねてくるのは
深刻そうだったので、その店に電話を入れました。
JJ:「青いコンビニM店の店長 JJと申します。店長のO様いらっしゃいますでしょうか。」
O:「私がOです。お電話ありがとうございます。」
JJ:「いえ、こちらこそ、わざわざ、ご来店くださり、万引きの事まで
お教えいただきましてありがとうございます。
全く、こちらも気づいてなくて。」
O:「うちは、モバイルバッテリーとイヤホン取られまして、
7000円くらい被害にあったんですよ。
うちのスタッフもその2人を怪しいと思って
マークしていたらしいんですけど、
一瞬の隙をつかれました。
そちらは大丈夫でしたか。」
JJ:「うちは、お菓子の大きいサイズ1袋でした。」
O:「私、万引きの時、ドリンク補充してたんですよ。
ウォークインに入る前に声かけてるんですよ。
気になってウォークインから見てたんですけど。
万引きされたとスタッフの子が駆け込んできたんで、
カメラで確認すると、取られてたんで、
すぐに、自転車で追いかけたんですよ。」
JJ:「えっ、追いかけたんですか?」
O:「はい、もう、許せなくて。
私、その万引きした子たちと同じ年ごろの息子がいるんですけど、
なんか、無垢なふりをして大人を騙す、
そういうのが許せなくて。
お宅のコンビニに行ったあと、若い子がたまっている近くの
ゲームセンターとアニメショップとフィギァショップとかにも
立ち寄って、その子たちを探して聞き込みもしたんですけど、
見当たりませんでした。」
すごい行動力だ。
きっと、私はそこまできない。
O店長のグループはオーナーが市内でコンビニ6店舗を経営し、
他業種も展開している中小企業でした。
流石、Tグループの社員さんだなあと感心いたしました。
O:「お金は私が弁償しますが、割と大きな金額なので
どうしようかと思って。
オーナーにも報告しないといけないので。」
JJ:「うちはM警察署に、毎日、巡回にきてもらっているので、
先に被害届を出します。
その時に、お宅の被害の件も一緒にご報告させていただいても
よろしいですか?万引きに気付いた経緯もありますし。」
O:「いままで、こういったことがうちの店はなかったので、
手順がわからなくて。
よろしくお願いします。」
という事で、私が、M警察署に電話を入れて、
当店の防犯カメラを見に来てもらいました。
当店で確認後、緑のコンビニへ行って防犯カメラを確認し、
同日に被害届を出しました。
その後、警察署から、当店の街道沿いにあるコンビニに電話を入れてもらい、
確認してもらったところ、合計7店舗で少しずつ、違ったものを万引きしていることが
判明いたしました。
少年課も捜査に加わっていただいたそうですが、近隣住民の子供たちではなく、
トンネルを抜けて、我市に入ってきており、
途中で防犯カメラの映像も途切れて追跡できなかったそうです。
後日、緑のコンビニへご挨拶に伺いました。
お電話での印象通り、凛とした佇まいの店長でした。
JJ:「本当に、この度はありがとうございました。」
O:「こちらこそ、ありがとうございました。
でも、コンビニをはしごして万引きするなんて
本当に許せないです。
あの子たちの未来が心配です。
追い詰められているのか、遊びなのかわかりませんが、
私達にできる事を見つけて、
少しでも、青少年犯罪を減らしたいですよね。」
JJ:「そうですね。これまで以上に
声かけ強化して、陳列も工夫して
万引き予防しようと、対策練って共有してます。」
どんどん、日本の経済が悪くなり、
毎日、満足にごはんを食べられない子供も
たくさんいる世の中になりました。
万引きは犯罪です。
政府の責任?
行政制度の不備?
親の責任?
学校のせい?
それでも、ひと様のものに手をつけてはいけません。
命を繋ぐために必要な時もあるかもしれないけれど、
ずっと、犯罪を重ねていると
その状況に慣れてしまって、
自分が深いところに沈んでいるのが解らなくなってしまいます。
自分で修正できるところにいる時はまだ、希みはあります。
誰かの小さなアクションが、深淵から引き揚げてくれる
きっかけになることもあります。
きれいごとをいうつもりは全くありません。
それでも、この世に生を受けた奇蹟と尊さを大切に
未来に繋いでゆきたいと思って少しずつ行動しています。
本当に、青少年の犯罪は一言ではとても表せない
長く根深い問題です。