ミュージシャンクルー クズのその後

Kが深夜勤を1分前にドタキャンしてから、

約1週間が過ぎました。

Kが突然、シフトから抜けたので、

こぐまさんと私が可能な限り、シフトに入りました。

あとは、クルーさんが通常より少し長くシフトに入ってくれたり、

日数を増やしてくれてなんとシフトが落ち着いてきました。

Kからは、何の連絡もありません。

ロッカーの制服もそのままで、こちらで片づけました。

10日後に、労働基準監督署から電話がありました。

Kの給与が振り込まれていないとのことで、

店長かオーナーに話を聞きたいとのことでした。

こぐまさんは深夜勤にずっと入っていたので

私が担当者とお会いすることになりました。

私も、毎日10時間以上シフトに入っていて労働基準監督署に

行けない旨を伝えると、担当者が店に来てくださいました

労基担当者:「お忙しいところ、すみませんね。

       このKさんはこちらで働いていた方ですよね。

       このKさんがうちにこられまして、

       こちらのコンビニで働いていた時に、    

       心身ともに酷使されて現在は、働けない状態になっており、

       また、給与が支払われていないとのことですが、

       どういった状況なのでしょうか?」

私は、ざっくりとKのこれまでの半年間の行動を話しました。

Kが面接に来る↓

翌日、他社で働くとの報告を受ける↓

3日後、他社で洋服の販売員を希望したが在庫整理させられて

ホコリっぽのでやめた↓

また、ここで働きたいとの連絡がある。↓

ミュージシャン志望でデビューにお金が必要だからと

無理やり深夜勤に入る↓

勝手に、廃棄商品と偽り商品を持って帰ったり、違法行為多数あり

また同僚に商品や金銭のおごりを要求↓

ライブ失敗↓

デビュー消滅↓

深夜勤で疲れて声が出なかったと店とクルーへ八つ当たり↓

深夜勤シフトを1分前にキャンセル↓

と言った内容を話して、彼が暴れている店内カメラの映像を見せると、

と労働基準監督署の担当者は、

「まったく、私が聞いていた内容と違いますねー。」

とあきれていました。

労基担当者:「それでも、給与は支払う義務がありますよ。」

JJ:「わかってます。支払いますけど、これだけ皆に迷惑をかけて、

   謝らなくて、また、こちらを責める言動をしたので

   今は、払いたくないだけです。」

労基担当者:「そうですねー。心情的にはとってもわかります。」

労基担当者:「きちんと、謝罪したら給与振り込んでもらえますか?」

JJ:「はい、そのつもりです。

   彼の言動が著しく社会性に乏しくて心配でもあるんです。

   ここで、自分が悪いことをしたと

   認識してもらいたいとも思ってるんですけど。

   もういい歳なんだし。」

労基担当者:「わかりました。Kさんともう一度話してみます。」

と言って、お帰りになりました。

翌日、再度、労基担当者から電話がありました。

労基担当者:「昨日、Kさんと話しました。

       あなたの行動は常識から逸脱したところがあるので、

       お店の皆に謝ったほうがいいですと伝えました。

       近々、お店に行くと思いますのでよろしくお願いいたします。」

とのことでした。

そして、2日後、夕夜間のラッシュ時にKは来店しました。

レジ1で接客をしていた私の所へきて、

K:「店長、おかねください。」

はぁ?なんだその言い方は。

無視。

K:「おかねくださいよー。」

全然、謝る気ないじゃん。

K:「おかねください。」

K:「ください、ください、ください、ください、ください」

お客様も不審者を見る目で横をちらちら見ています。

ずっと、無視していたら、Kは

「もういいです!」

と言って帰ってゆきました。

翌日、労基担当者から電話がありました。

労基担当者:「店長さん、給与の支払いがされなかったという事なんですけど。」

JJ:「はい、支払ってません。

   担当者さん、申し訳ないんですけど、もう一度

   店に来ていただけませんか?」

その日の夕方に、労基担当者は店にやってきました。

JJ:「Kさんが昨日、店に来た時の映像です。」

とカメラ映像を見せると、担当者は肩を落とし、

大きなため息をつきました。

労基担当者:「ちゃんと謝れって言ったのに。」

労基担当者:「店長、はっきり言ってKさんは異常です。

       でも、うちに相談にくる人ってこんな人ばっかりなんです。

       今、僕、10件以上、こういう案件抱えてるんです。

       店長さん、解りますよね、この大変さ。」

労基担当者さんは、最初にお会いしたときに名刺をいただいたのですが、

あまり聞いたことのない苗字だったので、こちらの方かなと思い、

お伺いすると、なんと、九州の方でした。

そして、労働基準監督署の職員は全国規模で

転勤・移動があるとはじめて知りました。

(現在はどうかわかりませんが)

労基担当者:「僕、結構全国回ってるんですけど

       K君みたいな特殊な子って増えてるんです。

       世代の違いって一言で言えないほど、

       意思の疎通ができません。

       雇用主とのトラブルが多くて。」

JJ:「大変ですね。」

労基担当者:「店長さん、K君とはもう、縁切った方がいいでしょ、

       どうか、僕に免じて鞘を納めてくれませんか。」

目の前に座っている労基担当者は、本当にくたびれているように見えました。

私たちとしても、Kの事は早く忘れたかったのですが、

迷惑をかけて当店のクルーさんの手前、

Kの身勝手な行動をすぐに許すわけにはいきませんでした。

JJ:「わかりました。今週中に振り込みます。

   皆に長い間、迷惑をかけたのは

   Kを雇ってしまったオーナーと私の責任でもあるので、

   Kの謝罪はなくても、こちらで対処します。

   まあ、うちのクルーさんは人格者が多いので

   許してくれると思います。」

そう言うと、労基担当者は安心したようで、

何度も頭を下げて帰ってゆきました。

その後、Kの給与を振り込み、

Kともさっぱり縁が切れてもとの店に戻りました。

後で聞いて驚いたのですが、

Kはこぐまさんに電話で「労基を通せ」と叱られたあと、

「ろうきって何?」

と早朝勤のI君に2日後に電話をかけて、尋ねたそうです。

Kが辞めてから10年が経ちました。

Kはメジャーデビューできずに、

いまでも、同じ商店街で夜に唄っています。

洋服が好きらしく、服のブランドを紹介するYOUTUBEチャンネルを

運営していたようですが、登録者も再生回数も伸びずに辞めてしまったそうです。

また、3年ほど前に、古着屋をオープンしたそうですが、

たった3ケ月で閉店したようです。

先日、当時、クルーさんだった方から

Kが唄のサブスクを始めるらしいと聞きました。

今でも、定職に就かず、自分のために働いてくれる女の子を探して

だまして生活費を稼がせて生活しているようです。

Kの両親は、県東部で農家を営んでいました。

中学生のころから、

農家のあとを継ぐように言われて、親と衝突が絶えず、

高校生のころから家を出て生活をしていたと言っていました。

うちで働いているときにも、30歳までに、絶対にメジャーデビューして

親を見返してやる!とよく言っていました。

農家はダサい!

俺はダサくない!

俺の本当の親はやつらじゃない!

俺の使命は唄うたい!

メジャーデビューしてお金をいっぱい稼ぐ!

俺が一番大事!

これらがKの口癖でした。

こんな思考を一日中している人間の夢がかないますか。

こんな思考の人間と友達になりたいと思いますか。

この人の唄を聴きたいと思いますか。

自分が一番大切だと思っている人を応援できますか。

私がいつも言ってる誠実さと謙虚さがまったくない

自分勝手なとても、可哀そうなひとでした。

夢はいくつになっても、持てばいいと思います。

57歳のわたしにも夢があります。

夢を追いかけることは人生に生きがいをもたらし、

毎日のワクワクを提供してくれます。

でも、誰かを犠牲にして、たとえ夢がかなったとしても、

長く続く夢だとは思いません。

そして、失敗すれば全部まわりのせい、他人のせいにして

自分を省みることを全くしない。

そんな人に輝く未来は訪れますか。

若い時には、夢への近道があると勘違いしがちです。

私も、苦しい時には、よく、もっと簡単で効率の良い近道が、

上手いことやる方法があるのでは?と幾度も思いました。

でも、そんなものはありませんでした。

どこかで、目に見えないけど確実に自分を

引っ張ってくれる力があります。

どうして、自分の夢がかなわないのか?

Kも、何度も考えたはずです。

そのためには、やはり、人間の基本ができていないと、

導いてはくれません。

40歳・50歳になっても、気づきがなく、

小手先の価値のない事ばかりを重ねて年月が過ぎ、

年金をもらう年まで、だれかを特別な自分のために

働かせて生きてゆくクズ男Kよ。

約15年、同じ場所で毎晩唄ってきて、

フォロワーが30人足らずの原因を考えたことがありますか?

Kのライブを見たクルーさんの言葉が今でも思い出されます。

「K君の歌って、どこかで聞いたような歌詞とメロディなんですよね。

 なんか、創造性がまったく感じられないんですよね。

 心がこもってないていうか。」

あなたの唄からは、他者を思いやる愛情が伝わってこないんだよ。

もっと、自分以外の人を見て、唄を作らなければ

ずっと、素通りされるミュージシャン人生だよ。

唄って、いろんなときに聞くよね。

楽しい時、喜びに満ちた時、悲しい時、怒りを抱えた時、

いろんな唄があるよね。

でも、聴いた人が、

”また、聴きたい”

と思ってくれる唄を創れる日がくるといいね。

こぐま

こぐま夫婦です。夫こぐま:大学卒業後、某家電メーカー20年勤続後、早期退職。某コンビニチェーンのオーナーを経て某自動車メーカー勤務。妻JJ:大学・専門学校卒業後、不動産会社勤務→某家電販売チェーン地域店舗統括マネージャー→コンビニチェーンオーナー→オーガニック加工食品販売会社経営。毎日の出会い、小さな幸せを大切に生きています。

こぐまをフォローする
クレーマーコンビニエンスコンビニエンスストア経営
こぐまをフォローする
タイトルとURLをコピーしました