JJでございます。
日本のドラマを見ていると、土下座をして
許しを請うとか、結構なお願いをするという場面があります。
海外ドラマや映画ではあまり見ないので、日本伝統の文化?なのでしょうか。
皆様は土下座したことがありますか。
また、土下座している人を見たことがありますか。
私は、これまでの仕事のなかで、
3回土下座をしました。
別に土下座が好きでしている訳ではありません。
そもそも、他人に自分の足元に膝をつかせて、
何かをさせるというシチュエーションは異常な事態です。
それでも、土下座をするしか現状打開ができないという場面が
3回あったという事です。
2回は、クルーさんの小さな小さなミスが原因です。
そんなくだらないことで、小さなミスで土下座まで
しなきゃならないのかと思われると思います。
私も、そう思います。
しかし、他人を必要以上に攻撃をして、
自分の思い通りにさせたい感情になる人達が、
一定数存在するのも事実です。
1番最初に土下座をした原因は、昼勤のクルーさんが
お客様のご購入されたメンチカツにソースをつけるのを
忘れたということでした。
近隣の一番大きな工場の社員さんで、
毎日、シフト前、休憩時間、シフト終わりにと数回
よく来店されているお客様でした。
もともと、同僚の方と2人で来店されていたのですが、
同僚が転職して、一人で来られるようになりました。
お一人で来店されるようになってからは、急いでいる感じで
なんかいつもイライラしているように見えました。
ある日の夕夜間、私がレジを打っているとつなぎ服の男Aが入店し、
並んでいるお客様の横でうろうろし始めました。
こちらは、夕夜間のラッシュをこなすのが大変で気にも留めなかったのですが、
レジ横から、他のお客様の会計中に、
「はよ、終われや。」
とお客様にからんできました。
”なんだ?いつもと様子が違うんだが。”
と思いつつ、並んでいるお客様を接客していたら、
「店長!ちょっと!メンチカツのソース入ってなかったんやけど!」
と横入りしてきたので、
「あっ、すみません。」
と言って、ソースを渡しました。
すると、つなぎ服の男Aは
「こんなん、いらんわ!」
と言って、床にソースを叩きつけました。
はあ?なんやこいつ。いらんのかい!
ソース欲しいんじゃないのかよ?
何なんだよ。
「昼飯に買ったメンチカツにソースが付いてなかったんだよ!
今、もろうても使えんし、いらんわ。
おかげで、昼休憩台無しやわ!」
メンチカツにソースが付いてなかっただけで、
なんで、昼休憩が台無しなんだよ!
あたま、おかしいのか?
「どうしてくれるんだよー。
俺が、メンチカツ、ソース無いと食べられないって知っとるやろ!」
いえ、まったく知りません。
「ああ、そんなんですか。それは失礼いたしました。」
「昼間のあの小さい馬鹿の店員が忘れたんだよ!
どういう教育してるんだよ、あ、店長!」
昼勤のY下君のことか?
お前も、身長同じくらいだろ。十分小さいだろ!
私は、自店のクルーを馬鹿にされて、
少し腹が立ちました。
レジにはずーっとお客様が並んでいます。
私は、無視してレジ打ちを続けました。
本当にうざい。
まあ、ソースを入れ忘れたうちのクルーに非があるのだが。
会計をしているお客さまも露骨に迷惑そうな嫌そうな顔をしています。
「店長、なんなん?こいつ。」
と吐き捨てるように言われて帰られるお客様もいらっしゃいました。
レジ横から、ずっと離れずに、会計している他のお客様をかれこれ20分程
じーっと見ているので、あるお客様が
「お前、さっきから邪魔なんじゃ、どけ!」
とつなぎ服の男Aに言いました。すると
「この店、サイテーですよ。この店のもの、腐ってますよー。」
と叫び始めました。
そして、お客様の持っているレジかごをつかんで
「なに、買ったんですか?こんなの買ったらいけません。」
と言って、知らないお客様のかごに入れた商品を
床に落としました。
はあ。ため息しかでん。
いい加減にしろよ!
レジに並んでいるお客様に、
「すみません、ちょっと待っていただけますか?」
とお願いして、お客様の横にいる彼に
「さっきから、なんですか?営業妨害ですよ。
お客様のお買い物の邪魔するのやめていただけますか?」
と強く言いました。
つなぎ服の男A:「ぜったい、ゆるさんから。」
友達がいなくなっておかしくなったんかな。
すごい粘着力なんですけど。
JJ:「お客様、メンチカツのソース、入ってなかったとのことで
お怒りのようですが、カメラで確認してから対応させていただきますので
他のお客様のご迷惑になる行為はご遠慮いただけますか。」
A:「ああ?疑ごうとんのか?
ほんまになかったから、こんだけ怒っとんのや。
そんなんもわからんのか!このボケが!」
当時の私は44歳でボケてはいなかったが、
たかが、メンチカツのソースでウジウジ文句を言い、
他のお客様に迷惑をかける
このつなぎ服のAに軽く殺意を感じました。
A:「どうすんのじゃ、こらー!」
JJ:「お客様はどうされたいんですか。
メンチカツの代金を返金すればよろしいのですか?」
A:「なめんとんのか!誠意を見せろや!
誠意や!誠意!
悪いことして、謝るときには誠意をみせんといかんのちゃうんか!」
別に悪いことしてませんが。
ほんとにメンチカツのソース入ってなかったんかな。
まあ、もうそれはどうでもいいけど。
JJ:「誠意ってなんですか?」
A:「自分で考えろや、ボケ!」
2回もボケと言われて私の中で何かがブチ切れました。
いやー、誠意とか突然言われても、笑う。
メンチカツのソースが入ってなかったとしても、
この目の前の大迷惑なつなぎ男をどうにかしないといけない。
こいつを出禁にしたい!
JJ:「わかりました。」
と私は、カウンターを出てつなぎ男の前に行き、
レジに並んでいるお客様の横で
いきなりひざまづき、土下座をしました。
JJ:「メ・ン・チ・カ・ツ・の・ソ・ー・ス・
入・れ・わ・す・れ・て・も・う・し・わ・け・ご・ざ・い・ま・せ・ん・で・し・た・ー」
私は、土下座をしながら、店内に響く大きな声で謝りました。
レジ2に並んでいたお客様や店内にいたお客様も何事かと
私たちのいるレジ1に寄ってきました。
JJ:「これが、私の誠意ですけど。
これで許していただけますかね。」
先ほどまで偉そうに喚き散らしていたAは、なぜか凍り付いて
何も言いませんでした。
えっ、反応ないの?
誠意見せろって言ったよね。
一番前にレジに並んでいたお客様が
「にいちゃん、あんたやりすぎやで。
店長、悪ないやん。
さっきから、聞いとったけど、あんたクレーマーやで。
カツのソースぽっちで、小さい男やな。」
と言いました。
それでも、Aは固まったままです。
店内の後方から、Aと同じつなぎを着たお客様がグループで
レジ前をのぞき込み、
「えー、おまえ、○○課のAやん。何いきってんの?」
「なになに、メンチのソース入ってないって、土下座さすとかお前キチ?」
「やばいやつやん、お前。」
「俺ら、おんなじ会社の印象わるなることするなよ。こわ」
と口々に言い始めるとAは、走って何も言わずに退店しました。
あ、よかった、出てってくれた。
私は、カウンターの中に戻り、
「皆さま、お騒がせいたしました。」
と言って平静を装い、レジ打ちに戻りました。
レジの一番前にいたお客様には、
「大変、お待たせいたしまして、また、
お見苦しいところをお見せいたしまして、
本当に申し訳ございませんでした。
お時間大丈夫でしたか?」
と謝ると、
「いや、構わんけど。店長、大丈夫?
あんた、えらい根性あるねー。
めんどい客おるし、大変やねー。頑張ってや。」
と労いの言葉をかけていただきました。
そして、夕夜間ラッシュも終わり、こぐまさんが来たので
レジを交代してもらい、休憩にはいりました。
昼間のつなぎ男Aの接客時の映像を探してみましたが、
Y下君はレジ2のサッカーをしていて、
手元がはっきりと映っておらず、
ソースを入れたかどうかは
真実はわかりませんでした。
私と夕夜間に一緒に入っていたH山さんと休憩時に
さっきのつなぎ男Aについて話しました。
H山:「店長、びっくりしたよー。
いきなり土下座しちゃうからさー。
なんなの、あいつ。しつこかったよねー。
俺もキレかけてたよー。
でも、あんだけ人いっぱいいたし、おんなじ会社の人もいたし、
恥ずかしくてもう、来れないと思うからよかったよ。」
JJ:「明らかに、営業妨害だからねー。
警察呼びたかったけど、そんな時間なかったし、
途中で、キレた。」
次の日、クルー全員に今一度、FF商品を買った際の
注意事項を確認してもらいましたが、
「メンチカツソースを入れ忘れたら、店長がこんなことになる!」
とストコンの私が土下座をしている映像の横に書いて貼ってありました。
Y下君は、何度も何度も
「店長、ごめんなさい。」
と謝ってきましたが、
「人間、誰でもミスはあるよ。」
と皆で励ましあいました。
つなぎ男Aも、ぱったりと来店されなくなり、
結果的には、クレーマーが来なくなってよかったねと言っていた、
10日ほど経った深夜勤のある日の23時過ぎに、
レジ1にいた私は、信じられない光景を目にしました。
なんと、あのつなぎ男Aが入店して、小走りでトイレに駆け込んでいったのです。
えっ、いまの、ヤツだった?見間違い?
しばらくすると、トイレから出てきて、
濡れた手を着ているつなぎで拭きながら店内をうろうろしていました。
汚いやつやなー。
私は、レジ1からじーっと見ていましたが、
絶対に見られていることが解っているのに、
不自然に下を向き、無駄な動きで商品を見ています。
あいつ、来たよ。まじか。
10分くらい店内をうろうろして、誰もいなくなったときに
結局、缶コーヒーを1本持ってレジ1に来ました。
缶コーヒー1本かよ、他のお客様が帰るの、タイミング計ってたな。
A:「これ、お願いします。」
JJ:「ポイントカードお願いします。」
JJ:「100円です。」
A:「店長、あの、」
JJ:「レシートです、シールでいいですか。」
と缶コーヒーにシールを貼ってカウンターに置きました。
A:「こないだのことやけど、
店長、びっくりしたわ、
ごめん。」
びっくりしたのはこっちだよ。
A:「会社でも、なんか噂広まってここ
来づらくなって、他のコンビニ行ってたんやけど、
不便で、愛想悪いし、やっぱり、ここが一番近いし、
また、来てええかな。」
JJ:無言
こいつの顔見たくない。
こいつと話したくない。
今、なんて言った?
また来たい?はあ?
やっぱり、あたま、おかしいんかな。
はよ、帰って。
無言でAの肩越しに向こうの通路を見つめていると、
こぐまさんがバックルームから出てきました。
A:「あっ、オーナー、お久しぶりですー。」
こぐま:「ああ、こんばんわ」
A:「いま、店長に謝ってて、
また、ここに来たいって話してたんですよー。」
いや、私は、はなしてないです。
A:「あの時、なんかどうかしとって
ほんとにごめんなさい。
ソースも袋にはいってたかもしれんし、
なんか、余裕のおてあんな感じに。」
はあ?ソース入ってたかもしれんだと!!!!!
出て行ってくれよ、ほんとに早く出て行ってくれよ。
塩対応の私を見て、焦りながらこぐまさんにすり寄ってゆくA。
ほんまに、ちっちゃいおとこやなー!
プライドとかないのか?
こぐまさんも返答に困っていると、
A:「じゃあ、おやすみなさい、またあした。」
と言って帰ってゆきました。
あした?来るのか?正気か?
そして、なんと、次の日の昼ラッシュにつなぎ男Aは来店し、
「やつが来た!どういう神経?」
と、昼勤のクルーさん達を驚かせました。
それから、つなぎ男Aは、また以前のように何事もなかったように
来店するようになりました。
以前とは別人のようにものすごーく低姿勢になり、
店で困ったお客様がいるときなどに
なんと、クルーさんを助けてくれるようになりました。
そして、深夜に来ては、こぐまさんに、
「新しい部署に異動になるかもしれなくて、でも、その部署ってー」
とか、”常連です”な雰囲気を醸し出して馴れ馴れしく相談などを
するようにもなりました。
OLかよ!さっさと異動しろよ!
「よっぽど、店長の土下座が怖かったんでしょうね。」
クルーさん達の間では、
一番怒らせてはいけないのは、店長だと再認識する事件でした。
だいたいのクレーマーな方々は、いつも
「誠意を見せろ」
と言います。
誠意ってどうやって見せるんですか。
お金に換算して払ったら気が済む人もいます。
理不尽な自分の中の正義や法律をふりかざして攻撃してきます。
”あんたの正義が社会の正義じゃないんだよ。”
いつもそう思いますが言いません。
言っても通じないからです。
自分が正しいと思っている方々は、
自分が相当な痛い目に合ったり、苦しい立場にならないと
考えを変えることはないからです。
他人、特にクレーマーな方々の考えを変えようとすることは、
面倒なのでしません。
いつか、自分で理解する日がくればいいねって思います。
そのまま、一生を終える人もたくさんいらっしゃいます。
いろんな考えの方がいらっしゃるのが社会です。
こちらに非がある場合に、
”誠意”とかいかにもな言葉で論破して攻撃する
薄っぺらい方には、心はこもってないですが、
何度でも土下座します。
困るのは土下座を強要した方ですからね。
強要罪ですから。
今まで、土下座をした方はなぜか、皆さま困惑いたしておりました。
なぜでしょうね。
「いや、ここまでしてとは・・・」などと
土下座をしたとたん、皆さん、急におとなしくなるのです。
あなたが、望んだことなのではないですか。
振り上げた拳をどうしてよいかわからなくなっています。
じゃあ、最初から攻撃しなければいいのにと思います。
人間、怒りの感情は自分を傷つける以外のなにものでもありませんね。
会社の代表として商売をするには、それくらいの覚悟はあります。
土下座の価値なんて、私は無いと思っています。
尋常じゃない精神の持ち主が
特に尋常じゃない精神状態のときに他人に強要する行為。
した方も、された方も気分良くならないとか不毛地帯です。
理由はどうあれ、他人に土下座を強要しておいて、
平気なひとと、お友達でいられますか。